競輪の結果をまとめるところ

レース番号レース種別 半周ラップ(一周ラップ) 1着決まり手 2着決まり手 3着決まり手 J選手着 H選手着 B選手着(上がり) 自分が使うときにまとめる。なんの責任もとりません。

小松島競輪場  第7回サテライト徳島カップ FⅠ

●初日
1R A級予選       14.0-12.1-12.5(14.0-24.6=38.6) 逃 抜 番 1 1 1(12.5)
2R A級予選 16.2-14.4-11.9-12.0(30.6-23.9=54.5) 逃 マ 捲 1 1 1(12.0)
3R A級予選 16.7-13.2-11.8-12.1(29.9-23.9=53.8) 差 先 流 2 2 2(12.2)
4R A級予選 15.3-13.4-12.0-12.4(28.7-24.4=53.1) 差 逃 マ 2 2 2(12.5)
5R A級初特 15.4-12.6-11.8-12.5(28.0-24.3=52.3) 捲 乗 流 1 6 6(12.8)
6R S級予選 16.6-16.3-12.5-11.6(32.9-23.1=56.0) 差 逃 追 2 2 2(11.7)
7R S級予選 16.7-14.3-11.5-11.7(30.0-23.2=53.2) 先 追 番 1 4 4(11.9)
8R S級予選 17.1-13.1-11.8-11.7(30.2-23.5=53.7) 追 捲 番 7 7 2(11.7)
9R S級予選 15.8-12.8-12.1-12.2(28.6-24.3=52.9) 差 逃 追 1 2 2(12.3)
10R S級予選 17.7-15.8-12.1-11.9(33.5-24.0=57.5) 追 番 逃 3 3 3(12.0)
11R S級予選 16.7-13.7-12.0-12.1(30.4-24.1=54.5) 追 逃 追 2 2 2(12.3)
12R S級初特 16.5-12.8-11.3-12.3(30.3-23.6=53.9) 差 差 先 4 3 3(12.5)

西武園競輪場 東京中日スポーツ杯 FⅠ

●初日
1R A級予選 12.7-12.2-12.0-12.3(24.9-24.3=49.2) 差 捲 差 6 6 6(12.9)
2R A級予選 16.9-16.2-11.2-11.4(33.1-22.6=55.7) 捲 逃 流 4 2 1(11.4)
3R A級予選 15.3-14.2-11.4-11.7(29.5-23.1=52.6) 差 先 マ 4 2 2(11.7)
4R A級予選 14.1-13.4-11.9-11.7(27.5-23.6=51.1) 先 マ マ 1 1 1(11,7)
5R A級初特 16.0-12.7-11.0-11.7(28.7-22.7=51.4) 捲 先 追 2 5 5(11.9)
6R S級予選 18.9-13.7-12.4-12.0(32.6-24.4=57.0) 差 先 流 3 2 2(12.1)
7R S級予選 16.7-13.1-11.4-12.2(29.8-23.6=53.4) 追 番 差 7 4 4(12.3)
8R S級予選 14.3-14.1-11.8-11.8(28.4-23.6=52.0) 差 捲 逃 3 3 3(11.9)
9R S級予選 15.2-15.8-11.4-11.8(31.0-23.2=54.2) 差 差 差 2 2 5(11.9)
10R S級予選 15.0-13.4-11.2-12.0(28.4-23.2=51.6) 差 差 先 2 2 3(12.0)
11R S級予選 16.5-13.5-12.0-11.8(30.0-23.8=53.8) 差 先 流 6 6 2(11.8)
12R S級初特 14.8-12.6-11.5-11.8(27.4-23.3=50.7) 差 捲 差 5 5 5(12.0)

●二日目
1R A級一般 15.1-13.5-11.9-12.5(28.6-24.4=53.0) 追 番 追 4 4 4(12.6)
2R A級一般 13.8-13.9-12.1-12.1(27.7-24.2=51.9) 先 マ 捲 7 1 1(12.1)
3R A級準決 16.8-13.3-11.3-12.1(30.1-23.4=53.5) 差 先 流 2 2 2(12.1)
4R A級準決 13.8-12.9-11.8-11.9(26.7-23.7=50.4) 捲 乗 先 5 5 3(12.2)
5R A級準決 14.7-13.6-11.8-11.6(28.3-23.4=51.8) 捲 追 捲 6 6 1(11.6)
6R S級一般 15.7-13.0-12.3-12.4(28.7-24.7=53.4) 追 捲 逃 3 3 3(12.4)
7R S級一般 16.3-15.2-12.2-11.8(31.5-24.0=55.5) 差 追 逃 3 3 3(11.9)
8R S級選抜 14.7-13.7-11.8-12.0(28.4-23.8=52.4) 捲 番 逃 3 3 3(12.1)
9R S級選抜 15.2-14.3-12.1-11.8(29.5-23.9=53.4) 差 逃 マ 2 2 2(11.8)
10R S級準決 15.6-11.7-11.3-11.8(27.3-23.1=50.4) 捲 先 追 7 2 2(11.2)
11R S級準決 14.4-13.6-12.1-11.7(28.0-23.8=51.8) 捲 乗 番 4 4 4(12.1)
12R S級準決 14.8-12.6-11.5-11.3(27.4-22.8=50.2) 捲 捲 捲 7 7 1(11.3)

久留米競輪場 「火の国杯争奪戦」in久留米 GⅢ

●初日
1R S級一予 14.8-12.5-11.5-11.7(27.3-23.2=50.5) 先 マ 流 1 1 1(11.7)
2R S級一予 14.6-12.3-11.9-11.3(26.9-23.2=50.1) 差 捲 乗 7 7 1(11.3)
3R S級一予 14.6-11.7-11.3-11.8(26.3-23.1=49.4) 先 追 追 1 1 1(11.8)
4R S級一予 13.6-11.6-11.7-12.0(25.2-23.7=48.9) 差 先 追 2 2 2(12.0)
5R S級一予 13.9-11.3-11.3-11.9(25.2-23.2=48.4) 捲 番 先 9 9 3(12.0)
6R S級一予 13.7-12.0-11.7-11.7(25.7-23.4=49.1) 差 逃 流 2 2 2(11.7)
7R S級一予 14.1-12.3-11.8-11.5(26.4-23.3=49.7) 失 捲 オオ 7 7 1(11.6)
8R S級一予 14.1-12.1-12.2-11.5(26.2-23.7=49.9) 捲 番 逃 3 3 3(11.8)
9R S級一予 14.6-12.4-11.2-11.2(27.0-22.4=49.4) 先 マ 追 4 4 1(11.2)
10R S級一予 14.8-13.0-11.4-11.3(27.8-22.7=50.5) 逃 マ マ 1 1 1(11.3)
11R S級一予 15.3-13.2-11.1-11.5(28.5-22.6=50.1) 差 差 差 5 5 5(11.8)
12R S級初特 13.2-11.4-11.4-11.2(24.6-22.6=47.2) 差 捲 捲 9 9 3(11.5)

【二十三場目】松阪競輪場

 2022年の元旦は、那智勝浦で目を覚ました。

 特段の理由はなかったのだが、年末の大一番、12月30日の競輪グランプリ。2021年は静岡での開催で、私も5,000人上限の事前抽選を運よく突破でき――これに落ちたか、知らなかった地元のお客さんが、場外売専用券売機に並び、朝から長蛇の列を作っていたのは申し訳なかった――、遠く栃木くんだりから遠征した。そのまま、西の方をふらふらしようと、たまたま宿が安かった京都に出て一泊、翌日31日は岸和田競輪の本場開催に行く。

 だが、こちらがあまり面白い番組ではない。「そういや、紀勢本線は乗り通したことがなかったな」と、そのまま紀伊半島を奥へ奥へと突き進み、串本で半島の先端を回って、進行方向が南から北へ。新宮までいく列車だったが、とりあえずここまで、と那智勝浦駅前のビジネスホテルに宿泊した。大みそかの夜で店も閉まっているから、ローソンで酒とつまみを買い、一人紅白を見ながら寝落ち。なんともくだらない旧年の締めくくり、新年の幕開けである。

 それに、車券の具合はよろしくない。なぜ、前を取った郡司(浩平、S級S班、神奈川99期)は、あそこで関東勢4番手を古性に譲り、5番手で折り合ったんだ。列車の中で戦後のコメントを探すと、郡司は「古性とやりあうのはキツいので下げた」と話しているらしい。

 競輪グランプリは、1年間の総決算。そう思えば、あの極限の中で「やりあうとキツい」と、周囲に思わせるだけの走りを積み重ねてきた古性が、ここは勝つべくして勝ったのだと、納得した。

 

 7時台の列車に乗り、那智勝浦から2駅の那智駅で下車する。ここは世界遺産・熊野那智神社へと向かう道の出発点だが、バスで向かっても時間がかかる。駅から山側すぐの、補陀洛寺だけを見ることにする。修行の究極として、生きたながらにして小舟に乗り込み、南方の浄土へと流されていく「補陀洛渡海」があった寺だ。渡海者が乗り込んだあと、船の出入り口は板を打ち付け閉鎖するので、物質的な事象としては、渡海者は海に沈んで死ぬか、餓死するかのいずれかになる。

 波の具合が悪く(?)、近場の浜に流れ着いてしまった渡海者を叩き殺した伝承まであるらしいから、信仰を全うするのもすさまじいことである。

 元旦早朝、私しかいない境内には、歴代二十数人の渡海者の名を彫った石碑、そして源平合戦の最中で現世を儚み、20代の若さで補陀落渡海したと伝わる平維盛の供養塔がある。近年になって絵巻物を基に復元された、補陀落舟の再現品も置いてあった。

 面白いのが、この渡海は一部の例外を除き、寺の住職の年功、おおよそ60歳を過ぎると渡る仕組みになっていた。若い後進がつっかえてしまえば、「もう少し待ってくれ」とはいかない。「いやしくも数十年、補陀洛寺で修行してきた身であれば、その歳には渡海するだけの功徳があるに違いない」との周囲の眼にも負け、それでえいやと決心すれば、聖人様だと持ち上げられ、総出で送り出されていく。

 人間など、自身の意思よりも病気や天災、偶然割り振られた結果で死んでいくことが大半と思えば、他と比較しても悪い死に方ではないのかもしれない。

 線路をトンネルでくぐり、浜の方へと出る。初日の出はとうに高く上がり、中世から変わらぬだろう静かな水面と、湾内の小島がよく見えた。

 

 那智駅で再び列車に乗り、9時半前には新宮へ。神社なんぞろくすっぽ行かないので「初」もなにもないけれど、せっかくなので熊野速玉神社で初詣とする。駅に戻り、ローソンのイートインで昼食を済ませて、10時52分発の多気行に乗り込む。すぐに、海沿いよりも山の中を走ることが多くなった。リアス式海岸の奥にある集落を巡るから、海岸線を大回りで線路を引くより、トンネルを掘った方が手っ取り早いのだろう。紀伊長島を過ぎると列車は本格的に海岸線を離れ、内陸を北上。終点の多気駅着は14時10分、乗り換えてすぐ、14時半過ぎに松阪駅へと到着した。

 

 さて、競輪場へはバスに乗るのだが、松阪はユニークなシステムを採用している。民間路線バスの、松阪駅前~競輪場最寄バス停を無料で利用できるのだ。入場者数も寂しくなり、車社会の地方部では自家用車利用が基本の昨今。独自の送迎バスを仕立てるよりも本数が多くなるし、なにより安上がり。バス会社にとっても、どうせ走らせるバスなのだから、多少なりとも乗ってくれればメリットがある。類似の事例では、富山競輪場でも路面電車を無料で利用できるが、地域との協同という意味で、もっと広がってよい手法かもしれない。

 競輪場までのバスは5分ほど。本日はFⅡナイター開催「大正カラーカップ」の初日である。場内で紹介ビデオが流れていたが、「大正カラー」は地元松阪の塗装業者で、その他にも飲食業等幅広く手掛けているらしい。経営しているバーについて「地元・松阪の選手も多数行きつけの!」などと謳われていたが、「飲み屋で知り合った相手が暴力団員。酒や女で手籠めにされて」式の昭和の八百長事件を思うと、そんなことまで表に出すとは、ずいぶんと時代が変わったものだ。そのあたりの空気は、日自振(現JKA)の公正部長まで昇った方が記した『サインの報酬』という名著があるので、興味がある方は古本を探してみるのをお勧めする。

 

 最終までいるつもりだから、特別観覧席でも入ろうかと思う。ところが、新型コロナ対策で、有料のサイクルシアターは閉めていた。車券の方も、第1競走、第2競走と連続で外れ。やはり、よろしくない。静岡、岸和田と来て松阪までこれでは、財布の方もかなり苦しい。そして、松阪競輪場のヤジは岸和田よりも元気である。三重県といっても、このあたりの言葉は関西弁に近く、それで「このカスが―!」「死ねヤァァァァ!!!」と叫ばれると、けっこうな迫力がある。こっちだって大声を出したい気分だ。

 しかも、第3競走前だから16時半ごろ、食堂長屋のおばちゃんが、盆におでんやおにぎりを載せて、客席まで売りさばきに来る。常連たちが次々とあれこれ買っていき、私も味ごはんのおにぎり――これは中部圏の呼び方だな――をひとついただいた。これが店じまい前の売り切りとすると、ナイター開催時間にはもう営業しないのか。後半のレースの合間で夕飯を取ろうと思っていたので、これまた誤算。実際、17時過ぎにはどの店も営業を終了していた。

 

 第3競走、黒川将俊(A級3班、千葉92期)が叩かれて後退する姿に悲しくなり、第4競走は丸元大樹(A級3班、兵庫82期)がハコサンで外れ。第5競走はケンして、第6競走。こんな信頼できないメンバーばかりであれば、遠征東日本勢3番手から渡邊恭典(A級2班、栃木75期)の縦脚がよさげな穴。アタマまでの突き抜けだけでなく、当てたい一心でワイドを広めに散らす。ライン先頭の遠藤勝弥(A級1班、静岡109期)が出切ったまではよかったが、別線に捲られる肝心のところでイン詰まり。それでも4着には上がっていたが……

 ただでさえ、S級からの降格組が混ざって買いにくい新年早々の1・2班戦、あと買うとしたら第9競走だけか。気分の上がらないことが続くし、帰りのバスも夜間は本数が少なめ。これで終わりにしよう。小松原正登(A級2班、福井117期)を使える山崎光展(A級1班、京都93期)が人気。この山崎→小松原で2倍つくようなので、財布の中身の千円札と小銭をまとめて突っ込む。仮に当たったところで、とてもプラテンしないのだけど。

 

 案の定、直線山崎が小松原を交わすところ、インから上がってきた岩崎大和(A級1班、茨城94期)が中割り。山崎→岩崎→小松原で決定、当然至極のように外れて終了。

 

 とりあえず、宿を取った名古屋までの電車の中、新年早々の反省会だな。元旦から、あんまりにいい加減な過ごし方だ。今度こそ、年末にはグランプリを当てられるように。これから一年間、ちゃんとしようと心に誓うが、なにせ私のことだから、明日にどうかは分かりません。

入口兼外向け場外の建物(2019.2.23)

(2022.1.1)

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審判らの業務棟(2019.2.23)

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飲食長屋は酒も出し、悪くない(2022.1.1)

串カツ定食(2019.2.23)

「天輪焼き」と呼んでいた(2019.2.23)

写真写りが悪い……「ちゃんぽん」を頼むと、出てきたのが汁なしの中華あんかけ麺。ご当地ではこういうものなのだろうか(2022.1.1)

売り歩いていた「色ごはん」(2022.1.1)

バス利用券(2019.2.23)

松阪駅前バスターミナル(2019.2.23)

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向日町競輪場 平安賞 GⅢ

●初日
1R S級一予 14.4-12.5-11.2-12.0(26.9-23.2=50.1) 先 マ 追 5 1 1(12.0)
2R S級一予 13.9-12.2-11.3-11.9(26.1-23.2=49.3) 差 逃 追 2 2 2(11.9)
3R S級一予 15.9-13.6-11.7-11.4(29.5-23.1=52,6) 捲 乗 先 3 3 3(11.6)
4R S級一予 16.5-11.8-11.1-11.6(28.3-22.7=51.0) 捲 番 乗 5 4 4(11.7)
5R S級一予 12.9-11.5-11.5-12.0(24.4-23.5=57.9) 追 番 追 4 4 4(12.2)
6R S級一予 15.9-13.8-11.5-11.8(29.7-23.3=53.0) 差 先 マ 2 2 2(11.9)
7R S級一予 15.4-13.6-11.3-11.3(29.0-22.6=51.6) 差 捲 乗 8 8 2(11.3)
8R S級一予 15.2-12.0-11.4-11.6(27.2-23.0=50.2) 捲 追 番 9 4 4(11.9)
9R S級一予 15.4-12.2-11.8-11.9(27.6-23.7=51.3) 逃 マ 追 5 1 1(11.9)
10R S級一予 15.0-12.6-11.4-12.0(27.6-23.4=51.0) 差 逃 マ 5 2 2(12.1)
11R S級一予 14.7-12.2-11.5-12.3(26.9-23.8=50.7) 差 先 流 3 2 2(12.4)
12R S級初特 12.7-16.4-11.0-11.2(29.1-22.2=51.3) 捲 乗 乗 5 5 5(11.8)

【二十二場目】防府競輪場

 実家に一人引っ込んで久しい、父と会わねばならぬ用事ができた。こちらとしては面白いことなど何もないので、あれやこれやと引き延ばしていたけれど、いよいよ観念しなければならない。世間のお盆休みから少しずらして、夜行列車の切符を取った。戦後の混乱期、旧軍の上官に誘われて電電公社に潜り込んだという、祖父が建てた家は山口県にある。山陽地方らしい、大製造業の企業城下、そして蒲鉾が美味い街である。

 

 だが、いよいよ出発かというところで、どうも直接顔を合わせなくてもよさそうだ、という流れになった。とすると、わざわざ山口なんぞまで行く必要はない。いや、祖父母の墓参りくらいはしてもよいか……決めかねたまま予約を取り消すタイミングを逸し、出発当日。職場から東京駅へと向かう。駅近くの区営・銀座湯で汗を流し――ここは公営だからか、塩素がちょっと濃い気がする――、21時50分に定刻通りの出発。本日の宿は、寝台特急サンライズ出雲ノビノビ座席。カーペット敷きの雑魚寝だが、料金がお安いのがありがたい。

 ノビノビ座席にはコンセントがないので、携帯はあまり触らない。マスクのままで寝苦しく、寝っ転がっての手持無沙汰だと、どうでもよいことを考え始める。私が競馬や競輪といった公営賭博に手を染めるようになったのは、これを愛好していた父の影響だ。それに、子供時代が『ダービースタリオン』ブームの末期と被っていた。九九を覚えるよりも先に「4×3=18.75%で、奇跡の血量」を理解し、攻略本を読みながら横文字の種牡馬の名前を唱えていた。今でも、競馬場や競輪場で小さな子が親に連れられているような光景を見ると、私はどうにも嬉しくなる。

 一方で、一介のサラリーマンで飲む・打つ・買うを見事に揃えていた父の財政は、とうていまともな状態ではなかった。このうち「打つ」の腕は悪くなかったように思うのだが、勝っても負けても飲みに出ていてはどうしようもない。ちょうどサラ金の全盛時代であり、後から思えばあんなのに大金を貸した方も狂っていた。カネの巡りが悪くなると面白くないことも増えるわけで、中学時代は、家なんてのは可能な限りいないに限ると心得て、始業のずっと前から教室で暇をつぶし、帰りも時間を引き延ばす毎日だった。

 最終的に父と母が離婚してからも、養育費を受け取った試しがない。そもそも、銭がないから離婚したわけであり、乾雑巾を絞っても出るのはこちらの汗だけと諦めて、それで稀に会った際に「ちゃんと内容証明で催告しないと、時効になっちゃうよ」などとのたまわれると、さすがにどうかと思う。まあ、それでも世の中は想像を絶するほど優しいものだ。ほぼ学費を払わないでも高校は3年で卒業できたし、奨学金なんぞを貰ってストレートで大学にまで行ったのだから、たいへん運がよかった。苦学というほどの苦労はしていない。

 そしてそんな父を憎んでいるかといえば、私は明らかに父と近しいタイプの人間なのである。あれだけ「分からない」と叫んでいた母と違って、父の行為や思考は、うっすらとトレースできてしまう。ただ、情けない、根性なしというだけだ。……そんな薄暗い居心地の悪さも、20代も中ごろには、まあ思い悩むことも少なくなった。

 この家を私の代で終わらせるにあたって、必要となるカネも時間もまだまだ多そうだ、という事実が、32歳の私にはめんどうくさい。といって、代わりにやってくれる人間がいるわけでなし、赤の他人様にお願いする筋でもない。ただ、それだけのことである。

 

 朝、車内放送で目を覚ます。夜のうちに、いくらか遅れが出たようだ。このまま岡山まで乗っていると、予定の新幹線に接続ができないようなので、手前の姫路で降りることにする。一度改札の外に出て、まっすぐ伸びる大通りの先に堂々と構える姫路城に向かって少し散歩し、6時に開いたみどりの窓口で新幹線の区間を変更。姫路駅は、在来線改札を経由して新幹線ホームに出る構造である。入札後、一度在来線のホームまで上がり、「まねき」へ。券売機上のラジカセから流れるラジオの天気予報に安堵しつつ、名物「姫路駅そば」を冷やしでいただいた。

 6時21分発の「みずほ」に乗りこむ。岡山到着は6時50分、定刻通りならばサンライズの岡山着は6時27分なので、余裕のある接続なのだけれど。twitterで検索すると、どうもほかの列車との兼ね合いが悪く、遅れが拡大してしまったようである。7時半ごろ、広島駅で「こだま」に乗り換えると、この列車は山口県内の新幹線駅にやたらと停車してくれる。新岩国7時50分、徳山8時04分、新山口8時18分、厚狭8時29分、そして新下関が8時38分着だ。

 新山口で降りて、新しくなった駅舎・コンコースに驚きつつ、在来線ホームへ向かう。山陽線を折り返し、8時28分岩国行きへ。夏休みであろうに部活動なのか、車内は高校生が多い。防府に着いたのが8時44分、高校生らも一緒に下車した。

 

 以前は、駅前から競輪場への送迎バスがあったのだが、コロナを受けて休止中だ。本日は、A級1・2班戦モーニング開催の2日目、第1競走が8時半発走で終了済み。第2競走はまもなく、8時50分発走。第3競走が9時10分発走なので、これを見たいのならば、タクシーを使用することになる。

 そこまでの元気はない。天気も悪くないことだし、歩こう。駅を出て、防府天満宮へ向かって伸びる「銀座商店街」を行く。まだ朝早く、開いている店は少ない。連なる店の傍には、「幸せます」なる、競輪の中継でも使用される防府市のキャッチコピーが目につく。市の広報ホームページなどには、「山口県で『幸いです』『うれしく思います』の方言」と由来が書いてある。しかし、祖父は大分、祖母は広島出身だからか、そういう言葉は聞いたことがなかった。

 商店街を抜けると、防府天満宮だ。競輪場へは、この脇の道路から登っていくこともできるが、せっかくなので境内でお参りしていこう。平日の朝、参道にいるのは私だけだが、とてもきれいに掃き清められている。石段を登って、本殿前へ。ふんふんとひとしきり見学したあと、社務所の横の小道を抜け、職員の方々のものだろう車で埋まった駐車場へ出る。そこからはまた公道に出て、少し登れば防府競輪場の駐車場が視界に入る。お宮の裏手、山の裾にひっそりとある、田舎の小さな競輪場だ。

 

 入場すると、9時30分発走の、第4競走がちょうど始まったところ。竹元健竜(A級2班、福岡115期)が無風で逃げ、番手の高木竜司(A級1班、熊本82期)が差す固い展開だ。平日のモーニング開催だから、観客は20人ほどだろうか。それも、多くは冷房完備の発売所内にいるようだ。人のいないスタンドの観客席に座り、山の緑をしばし眺める。さて、車券を買おう。

 残る競走は準決勝の3つ。第5競走は浅見隼(A級1班、東京115期)に、川口直人(A級1班、神奈川84期)と梅原大治(A級1班、静岡81期)の南関2車がマークする、東日本遠征勢が人気。九州2車先頭の入江航太(A級2班、熊本119期)は速仕掛けタイプだが、脚力的には今ひとつ。ひとまず先に行かせてからの、読みやすい展開になりそうである。オッズ的には川口の差し目2→7が2倍台で被っているが、浅見は直近・逃げ連帯決まり手12回の1着:2着が11回:1回と、「掛かれば差せない」タイプ。そのまま7→2で7倍台ならば、こちらの二車単を一本でよいだろう。

 果たして、ジャンで入江が前へ進出、Sを取っていた中四国勢・田上晃也(A級1班、岡山115期)は引いて中段。そのまま入江が駆けだしたところ、ホームで5番手から浅見が発進する。一足遅れて合わせる形で田上も動き、3ライン並走で1・2角コーナーへ突入した。

 2角出口で、田上が大きくブロックをかける。数少ないじいさん観客の一人が「ありゃぁ!」と声を挙げた。だが、浅見はこれを乗り越え、バック線で捲り切り先頭へ。川口もしっかり追走している。いいぞいいぞ、あとはそのまま差されるな、と滑り込んだ最後の直線、川口の自転車の進みは鈍く、浅見は悠々半車身は余裕の残し。一点買いでの7.2倍は上々である。

 

 第6競走はケンとし、場内を少し回る。といっても小さな競輪場だから、それほど見るところはない。まだ腹が減っていないのでよしたが、休憩所を兼ねた建物内で、食堂1軒が営業をしているのは確認できた。

 そして、防府競輪場にはやたらとツバメの巣が多い。2階の天井の高いところだとか、スタンド内と客席との接続部だとかに、もそもそと大きな茶色い塊がひっついている。なにか、風の巡りがよいとか、周りの森林からエサが採りやすいとか、ここで子育てをする理由があるのかもしれない。以前来たときはちょうど旅立つ寸前で、レース中も構わずピーピー鳴いては、集団で飛び回っていたものだった。今年は、もう空き家のようだ。ツバメも新築が欲しくなることがあるのか、数自体は増えた気もする。

 正直に申し上げると、ただでさえ古いコンクリ造の建物にこれは、場末感を増幅させる。美観という意味ではどうかとも思う。だが、そんなこのスタンドも、この秋から解体・建替えが予定されている。もう、春のたびツバメがせっせと、ここに巣を作り増やすことはない。

 それでも、季節が廻ればツバメは防府に帰ってくるのだろう。差し当っては、近所に別の寝床を確保してもらいたい。ぴかぴかの新スタンドが完成した暁には、またこちらにも顔を出してはくれないものかね。主催者には、旅立ったあとの撤去まできちんとしてほしいけれど。

 

 最終第7競走、湯浅大輔(A級2班、千葉96期)がいるが、このメンバーではなぁ……と、案の定詰まって見せ場なし。まあ、今日は車券で大勝負をしに来ているわけではない。

 モーニング開催につき、10時半にはすべてが終了。場内では第1競走が10時50分発走の小田原記念、同じく11時発走の向日町のS級シリーズの中継が流れ、多くのじいさんらにはこれからが本番だろう。こちらは場外車券を買う気はなく、早々に出ることにする。駅まで歩いて戻っても、11時前にはたどり着く。時刻表を検索すると、鉄道との接続は悪くなさそう。

 

 さて、どうしましょうか。

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正門。コロナ時の入場検温などのため、東門へ入退場は集約中(2022.8.26)

正門にかかる立て看板。往時にノミ屋かなにかが悪さをしたのか、「携帯電話禁止」の跡が(2022.8.26)

こういう立地なので、駐車場は非常に広い(2022.8.26)

往年の長距離バスの名残(2022.8.26)

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夏の空が気持ちよい競輪場だと思う(2018.8.3)

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食堂のほか、発売所カウンターで軽食販売(2018.8.3)

食堂のちゃんぽん麺。なかなか美味しかった記憶(2018.8.3)

入場券(2022.8.26)

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防府天満宮。隣接して観光案内施設もある(2022.8.26)

本殿右手、社務所脇のこの道をいくと、競輪場方面へ抜ける(2022.8.26)

天満宮からひとつ先、この坂を登っていくと同じく競輪場方面。さすが神社の門前だけあり、民家も紙垂など掛けている(2018.8.3)

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防府座商店街(2022.8.26)

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戦災後の復興で、一直線に伸びる大通り。姫路城が観える構図はなるほど見事(2022.8.26)

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「まねき」在来線ホーム・ひやしとり天そば(2022.8.26)

銀座湯は、東京駅八重洲方面から徒歩10~15分ほど。高速バスターミナルからも具合がよい(2022.8.25)

小松島競輪場 CTC杯&金長たぬき杯争奪戦 FⅠ

●初日
1R A級予選 17.8-15.1-12.0-12.3(32.9-24.3=57.2) 差 捲 追 5 5 5(12.6)
2R A級予選 16.1-13.2-12.3-12.4(29.3-24.7=54.0) 追 差 捲 6 6 6(13.4)
3R A級予選 16.3-13.8-11.8-12.9(30.1-24.7=54.8) 差 先 追 2 2 2(13.0)
4R A級予選 13.3-15.1-12.4-12.2(38.4-24.6=53.0) 逃 マ 追 1 1 1(12.2)
5R A級初特 14.1-13.1-12.5-12.2(27.2-24.7=51.9) 捲 逃 マ 7 2 1(12.2)
6R S級予選 16.1-14.6-11.6-11.8(30.7-23.4=54.1) 捲 乗 追 4 4 4(12.0)
7R S級予選 16.6-14.0-11.6-12.2(30.6-23.8=54.4) 追 捲 番 5 5 5(12.4)
8R S級予選 15.5-12.5-11.3-12.3(28.0-23.6=51.6) 逃 マ マ 1 1 1(12.3)
9R S級予選 16.8-12.4-11.3-12.3(29.2-23.6=52.8) 差 追 逃 5 3 3(12.4)
10R S級予選 16.7-13.8-11.6-12.2(30.5-23.8=54.3) 差 先 追 7 7 2(12.2)
11R S級予選 14.4-13.4-12.2-12.3(27.8-24.5=52.3) 追 逃 マ 2 2 2(12.4)
12R S級初特 16.8-11.9-11.2-11.8(28.7-23.0=51.7) 差 捲 乗 7 7 7(12.5)

●二日目
1R A級一般 18.2-14.5-12.1-12.9(32.7-25.0=57.7) 差 追 差 1 1 4(13.2)
2R A級一般 16.4-13.1-12.0-12.5(29.5-24.5=54.0) 追 逃 マ 2 2 2(12.7)
3R A級準決 16.2-14.3-11.8-12.2(30.5-24.0=54.5) 先 追 番 7 7 1(12.2)
4R A級準決 14.4-14.2-12.3-12.4(28.6-24.7=53.3) 差 追 逃 3 3 3(12.6)
5R A級準決 16.0-13.4-11.5-12.3(29.4-23.8=53.2) 差 逃 差 7 2 2(12.4)
6R S級一般 19.5-15.8-11.6-12.3(35.3-23.9=59.2) 差 追 乗 4 4 4(12.4)
7R S級一般 18.5-15.6-11.5-12.2(34.1-23.7=57.8) 捲 追 番 1 5 5(12.2)
8R S級選抜 15.7-15.0-12.1-12.2(30.7-24.3=55.0) 追 追 逃 / 3 3(12.2)
9R S級選抜 16.1-13.4-11.3-11.8(29.5-23.1=52.6) 先 抜 番 1 1 1(11.8)
10R S級準決 13.6-12.3-11.3-12.3(25.9-23.4=49.3) 差 追 捲 3 3 5(12.5)
11R S級準決 15.7-14.6-11.4-11.8(30.3-23.2=53.5) 捲 先 乗 7 7 2(11.9)
12R S級準決 15.9-13.6-11.3-11.5(29.5-22.8=52.3) 捲 乗 番 7 4 4(11.9)