【十四場目】静岡競輪場
令和2年6月27日。東静岡駅から競輪場へ歩く途中、陽射しのせいか、気が急くためか妙に暑い。たどり着いた静岡競輪場の前には、開門を待つ人だかり100人ばかりがたむろしている。 会話から察する限り、中部・近畿地区から遠征の一団もいるようだ。この日は、南関東・関東地区において4ヶ月ぶりの、有観客開催の初日である。
政府要請を受けた、2月末からの急転直下の無観客開催。影響軽微な他種競技と異なり、場外を封じられた競輪は記念開催で絶望的な売上ーー奈良の記念など、初日2.8億円、二日目3.9億円とふだんのSシリ以下の結果ーーを叩き出した。そして井上茂徳氏(佐賀41期、引退)のCOVID-19感染、統制のとれぬまま各場の判断で相次ぐ開催中止。4月半ばのヒラ開催を感染対策を講じ実施するなどギリギリまで粘ったが、ここ静岡・日本選手権競輪開催もご破産となった。
競輪界にあっても怒涛のように苦しみ過ぎたこの数ヶ月を経て、変化が生じることは仕方がない。人々の距離はともかくとして、マスクをしていない人間は見当たらない。特覧席の売り場にも、「マスク1枚50円」の臨時発売所が設けられた。無料のバスが中止となっているからか、タクシーで乗り付けるお大尽たちの姿も目につく。10時05分が開門の入場待ちの行列に、非接触型体温計が向けられる。
関東からの遠征勢としては、行列で密になるのもよろしくない。人がはけたところで入場しようと、帰りの路線バスの時刻表を見に行く。競輪場からまっすぐ、三菱電機の立派な建物があるT字路が、静岡駅方面への上りバス停になる。その角のところ、電信柱に立て掛けて、無骨な立て看板が見えた。
曰く「本日競輪開催」と。
開催日は道が混むので注意するように、との意図で各地で見られる看板だがーーとはいえ、渋滞するような客入りなどどこも絶えて久しいーー、まったくこの日については、私は久々にこの看板が出ただろうことをじつに嬉しく、誇らしく思った。
そう、疫病がどれだけ流行り、世の中が変わろうとも、生きて昨日も今日も明日も競輪が開催されるってのは、じつに素晴らしいことだ。
(2020.6.27)
この左手のスペースでだいたい皆たむろっていた(2020.6.27)
1レースの発走。地元ファンから「おう、久々過ぎんなぁ!待ってたぞ!」と金網越しに声援(2020.6.27)
(2021.12.30)
静岡は施設もきれい。1・2コーナー観客席より(2016.12.10)
スタンド裏の飲食店はレトロな雰囲気を残している。ここのほか、2コーナー裏にも飲食長屋あり(2020.6.27)
(2017.7.8)
やすい はやい うまい」の浜松屋・縁起ラーメン500円。優しい味(2020.6.27)
ワンカップのグラスがニクイ(2017.7.8)
(2017.7.8)
小島屋のおでんはいわゆる「静岡おでん」。ついにアルコール類を公式に扱うようになったので、つまみによろしい(2020.6.27)
(2016.12.10)
焼きそばは具がすくないチープさがよろしい(2016.12.11)
1・2角側にも数件飲食店があり、カウンター有のすし屋も入っている(2021.12.30)
(2021.12.30)
(2021.12.30)
(2021.12.30)
COVID-19後どうなるかは不透明だが、静岡競輪は沼津や富士方面へバスを出してる。なかなか便利だった。(2016.12.10)