競輪の結果をまとめるところ

レース番号レース種別 半周ラップ(一周ラップ) 1着決まり手 2着決まり手 3着決まり手 J選手着 H選手着 B選手着(上がり) 自分が使うときにまとめる。なんの責任もとりません。

【二十四場目】前橋競輪場

 ここのところ、運の巡りがよろしくない。車券は当たらないし、本業もあわただしい。家の鍵が壊れ、業者に頼んだら3万5千円も取られた。この世で起きるのは、いらぬ出来事ばかりである。

 それでも、9月には中野慎詞(S級2班、青森121期)のデビュー以来無敗の決勝進出を見て、青森記念最終日を観に行ったり――前日16時台の新幹線に飛び乗れば、19時半過ぎには新青森だ――。競輪のおかげで、それなりにおもしろく生きてはいるのだが。競輪界は、年末の競輪グランプリ出場レースも佳境に入り、この木曜日からは寛仁親王牌が開幕。脇本が不在のここで、一発ツモを狙う選手も多かろう。

 だが、こちらときたら、仕事で水曜夜に北海道入りし、翌朝の3時――いやはや、この時期はもう寒いね――から夕方18時まで働いて。新千歳に戻ると、帰りの飛行機が機材遅れで遅延していた。定刻から30分遅く羽田空港に着いたところで、今度はJRが運転見合わせ。家に戻ったのは、深夜1時近くなった。翌日金曜日は、朝から業務外の用事で栃木へ泊まり込み……さすがに疲れたが、土日は休めるのでありがたい。宇都宮のナイターもあるが、ここは特別競輪を観に行こう。

 

 前橋競輪場へは、小山で両毛線に乗り換える。栃木在住時は、第1競走に間に合うよう、宇都宮駅を7時過ぎには出て、乗り換え待ち時間でかの「きそば」を食べることが多かった。あの店はこの1月に閉じてしまったので、仕方がなしに、宇都宮駅でソバをすする気分である。7・8番線ホームにある「野州そば」は昼からしかやらず、東口に抜けるコンコースにある「いろり庵きらく」に入る。JR東日本資本の店で、可もなく不可もない朝そば440円。ただ、ここはすりごまを入れられるのがよい。場所柄から客入りは上々、船橋駅の「きらく」など平日朝7時の開店を待って、おっさんどもが並んでいる。お世間様には謎が多い。

 部活に向かう高校生、秋の山登りが楽しみな高齢者で混む両毛線をほぼ乗り通し、10時半ごろ前橋駅へ。ここから競輪場までは2kmほど、歩けないわけではないが、バスを使う方が無難だろう。「前橋公園行き」の路線バスで、県庁の馬鹿高いビルを経由して5分少々、日本に2つしかないドーム型競輪場「グリーンドーム前橋」だ。少し前までは、北関東発祥の大手家電量販店がネーミングライツを取得していたが、今は「日本トーター・グリーンドーム前橋」となった。

 

 入口のおばちゃんからアオケイを買い、検温を済ませて中に入る。本日は寛仁親王牌3日目、準決勝戦である。入ってすぐに、第2競走がスタート。周回中、今日は山本伸一(S級1班、奈良101期)の後ろから行く稲垣裕之(S級1班、京都86期)に対し、バック席から「いながきぃぃぃぃーーーー」の声。だが、いつもの、あの女性ではない。男である。その他にも、選手の名前を絶叫する方がそこそこ……あの御方の変わらぬスタイルと美学に感化され、ついに流行ってきたんだろうか。あの人、日本中、どこにでも遠征しているからスゴいよね。この間は、小松島の中継でも御声を聞きました。競走の方は、ごちゃごちゃ3番手を取り合っているうちに別線崩壊、ペース良く逃げられた取鳥雄吾(S級1班、香川107期)がそのまま1着。稲垣は、流れ込んでの5着だった。

 

 特別競輪だけあって、今では開催日でもめったに開けない3階のカレースタンド「SWAN」がやっている。地元レストラン資本による本格カレーという謳い文句で、この日はアルバイトの受付・飯盛り係のほか、高いコック帽をかぶったシェフの姿も店内に見えた。ほかの売店ではカレー1杯500~600円のところ、普通のカレー700円、小さなヒレカツを2つ載せたカツカレー900円は豪気だが、今となっては「年に一度しか食べられない」珍しさから、ついつい買ってしまった。普段から地道に頑張っている売店さん――前橋の売店は、そう悪いもんじゃないぞ――を、応援したい気持ちもあるのだけれど……この日は、数年前にドーム内から店舗が撤退した「上州御用・登利平」の鳥めしも、臨時で弁当を並べていた。

 

 競走の方は、第4競走は新山響平(S級1班、青森107期)の逃げきり、4番手を確保した三谷竜生(S級1班、奈良101期)が最後迫って2着。新山をマークした内藤宣彦(S級1班、秋田67期)はハコサン。このサンドイッチで、3連単が2番人気とはお客も面白いものである。まだ老け込む歳ではあるまいに、どうもパッとしない小川真太郎(S級1班、徳島107期)は、捲りが進まず9着に沈んだ。

 第5競走、小森貴大(S級1班、福井111期)を使って、最終2角にはもう「あんがと、サヨナラ!」と番手捲りに出た野原雅也氏(S級1班、福井103期)だが、肝心のてめぇの掛かりが悪い。そこを、格下の金子幸央(S級1班、栃木101期)が、中段から一捲り。野原の後ろにいた山田久徳(S級1班、京都93期)、金子に乗った永澤剛(S級1班、青森91期)と続いて二車単21,890円、三連単88,640円の大荒れ。

 第6競走、S取りから中段狙いだった山口拳矢(S級1班、岐阜117期)は、流れに乗れず太田竜馬(S級1班、徳島109期)と後方でもみ合い。すると、山口の後ろにつけていた川口聖二(S級1班、岐阜103期)がとっとと見限り、進出中の松坂洋平(S級1班、神奈川89期)ら南関ライン後ろに切り替え。さらには、2角出口から自分で捲る。これがハマり、するする抜けて見事1着。2日目からの補充参戦で大立ち回りを演じた川口に、なぜか客席から拍手が起きる。

 第7競走、ハラケン(原田研太朗、S級1班、徳島98期)が珍しく先行逃げ切り。ハラケンも、コロナによる7車S級シリーズを捲りに構えて勝ちまくり、16連勝したのは今年の冬。そこからずいぶんと調子を落としているが、巻き返しはあるだろうか。

 第8競走、青板バックで誘導を切るや、寺崎浩平(S級1班、福井117期)と町田太我(S級1班、広島117期)の同期二人が猛烈な踏みあい。客も、これにどっと沸く。勝負は寺崎に軍配があがり、しかしあそこから踏んでは寺崎も残れず5着。番手の神田紘輔(S級1班、大阪100期)が1着となり、配当は高めで三連単が5万円を超えた。

 第9競走、山田庸平(S級1班、佐賀94期)は、現在賞金ランキング9位。賞金が優秀戦と倍以上違う最終日の特別優秀戦――優秀戦は1着賞金81万5,000円、特別優秀戦は1着賞金201万1,000円。なお、通常のS級シリーズ決勝で1着賞金146万7,000円――は、絶対に確保したいところ。自分から積極的にイン切りして、先行屋として名高い竹内雄作(S級1班、岐阜99期)を前にだして3番手を確保。そのまま早めに捲って1着。2着にはラインを組んだ和田圭(S級1班、宮城90期)が入り、二車単390円は本日やっと見る優しい数字だ。

 

 さて、いよいよここからは準決勝へと移る。バンク内に鎮座する「親王牌」も、明日は誰の手に渡るのやら。第10競走。青板バックで誘導が退避し、眞杉匠(S級1班、栃木113期)が突っ張り先行する構えを見せる。番手はヨシタク(吉田拓矢、S級S班、茨城107期)、その後ろは吉澤純平(S級1班、茨城101期)だが、ここに松浦悠士(S級S班、広島98期)がロックオン。打鐘で8番手から郡司浩平(S級S班、神奈川99期)が発進も、真杉が突っ張りペースは急上昇。ヨシタクが小刻みに外にけん制したところに、松浦がインから車輪を差し込み、ヨシタクを攻撃したが、クリティカル・ヒットにはならず。今度はヨシタクから逆襲を受けたが、松浦もそう簡単には動じない。

 上がってきた郡司への牽制含め、ヨシタクが2角から自分で発進。松浦もすかさずヨシタクの後ろに吸い付き、そのままヨシタク→松浦、3着は松浦から離れなかった井上昌己(S級1班、長崎86期)が超久々の決勝戦進出。現在賞金ランキング10位、9位の山田庸平との差が300万円ほどで、決勝戦に進出すれば逆転が濃厚だった成田和也(S級1班、福島88期)は、最後自分で踏んでいく気迫も見せたが6着まで。特別優秀戦回りとなる。

 第11競走、吉田有希(S級1班、茨城119期)が若さに任せて無理やり気味に先行。古性優作(S級S班、大阪100期)が楽に3番手に入る。赤板ホーム、グランドスラム達成がかかる新田祐大(S級1班、福島90期)がインから中段に踏み始めたところ、外の南関勢に一瞬気を取られたのか、サトシン(佐藤慎太郎、S級S班、福島78期)が、珍しく踏み遅れ。1車になっても構わず、最終ホームで新田が早めの捲りに出たのを、古性は敢えて止めず、前に出してからその後ろに乗り換える。最後の直線で、古性が新田をチョイ差しで1着、これは、クレバーな立ち回りである。3着には稲川翔(S級1班、大阪90期)が続き、サトシンも最後4着までは来ていたが……

 第12競走、ここはもう、平原康多(S級S班、埼玉87期)が決勝に乗るための番組だろう。打鐘前から、ライン先頭の坂井洋(S級S班、栃木115期)が、清水裕友(S級S班、山口105期)、山崎賢人(S級1班、山口111期)らの強力別線相手に無理やり叩き。最終バックで平原が番手捲りを打って1着。関東3番手は諸橋愛(S級1班、新潟79期)だったが、道中、清水やオグリュー(小倉竜二、S級1班、徳島77期)に絡まれいっぱい。戦いに加わらず8番手に構えていた小松崎大地(S級1班、福島99期)・守澤太志(S級S班、秋田96期)の北日本2名が、恵まれての捲りで決勝進出を決めた。

 

 熱戦が終わり、できれば泊まって明日も参戦したいところだが。政府の旅行支援事業の開始もあって、群馬県内の宿は満室状態。仕方がないので、千葉に帰ることにする。私の場合、東武株主優待券――金券屋で1枚800~900円、全線1回乗り放題――が手元にあるので、帰りは両毛線で伊勢崎まで行き、東武伊勢崎線に乗り換え。この優待券は栃木在住時代、最も安価に宇都宮と千葉を行き来できる手段――船橋~宇都宮のJR普通乗車券は2,310円――として、よく使ったもの。あれから、まだ半年ほどしか経っていないのだな。せっかくだから、春日部の駅ラーメンでも、夕飯にしていきましょうかね。

 前橋駅まで向かうバスがない場合は、まだ近い上毛鉄道・中央前橋駅まで20分ほど歩いて上毛線に乗り、赤城駅東武桐生線に接続することもある。こちらはこちらで、ローカル線の風情があってよいものだし、中央前橋駅に至るまでの商店街はもともと街の中心部なので、飲食店が多い。北関東諸県では、貴重になりつつある銭湯もある。

 いずれにせよ、3時間以上の帰り道。さて明日の決勝は、北日本3車。新田は、史上4人目の全冠達成となるのかどうか。自宅から楽しみにするか、朝イチでまた舞い戻ってくるかは、ゆっくり考えることにしましょう。

(2022.10.22)

(2020.9.12)

(2021.5.1)

(2021.5.1)

(2016.10.9)

(2022.7.10)

(2021.5.1)

3階ホーム側の休憩所・イベントブース。最近、充電用コンセントが設置された。無料席ではありがたい(2022.7.10)

謎壁画(2021.5.1)

(2022.10.22)

テレビ・雑誌にも掲載され「前橋競輪場名物!」とされるSWANのカレーだが、現実問題ほとんどやっていない(2020.9.12)

2階3・4コーナー側一番奥の店のはず。(2020.9.12)

2階1・2角側の煮込み定食(2021.5.1)

豊橋競輪場の記事で取り上げられた外れ車券抽選機が、関東にも登場(2022.10.22)

登利平・松弁当。群馬のお弁当といえばこれ。2020年春(2019年度末?)までは、競輪場の2階3コーナー側に直営店舗があった(2021.5.1)

とにかく、安く動ける東武株主優待券(2022.7.10)

春日部駅野田線ホーム上・東武ラーメンの立ち食いラーメン。朝の仕込みを見ていると、チャーシュー用の豚肉を茹でたスープをベースにする、昔ながら(悪く言えば時代遅れの)作り方。わりと麺が美味しいので、戦える味になっている。

場合によっては調味油が濃かったり、スープの煮詰まり防止半分・増量半分で水を入れて薄くなっていたりもするが……そのへんのパートのおばちゃんのアバウトなオペレーション含め、愛すべき店である。(2022.7.10)

駅そばからの着想か、かき揚げやコロッケがトッピングできる。かなり脂っぽくなるので、おすすめはしないが……(2020.3.8)

ワンタントッピングは悪くない(2020.3.17)

塩もある(2020.10.11)

中央前橋駅から徒歩5分ほどの「成田湯」(2022.7.10)

(2022.7.10)

(2022.7.10)

(2022.7.10)

やたらと高い群馬県庁。高崎市庁舎と高さを争ったとかなんとか……(2016.10.9)

閉店前の「きそば」。日本一美味かったかというと「?」だが、立ち食いソバとしてはよいお店でした。2022年10月現在、足利市駅近くに同製麺所が出店、宇都宮のホテルでも出しているとか。(2021.5.1)

(2023.3.2)

宇都宮駅東口の「きそば」(2023.3.2)